空想犬猫記

※当日記では、犬も猫も空想も扱っておりません。(旧・エト記)

The Wagtail

Burgmüller 25 Progressive Pieces, Op. 100 の 11 曲目。とても高度な曲のように聴こえたが、楽譜を見ると、ドミソとラドミの転回系を左右両方の手でひたすら練習する曲のように見える。9曲目の The Chase でもその片鱗は既にあった。子供っぽい曲なので、オジサンが弾いてもあまり様にならないのが難点。

この曲の難しいのは、ソミド、ミドソ、ドソミを左右の手で逆から弾くところ。「ドミソ(左手)⇔ ソミド(右手)」は白鍵を1つ置きに弾く左右対称の運動なので問題ない。「ソドミ(左手)⇔ ミドソ(右手)」はソから、その上のドまで、白鍵が2つ空いている。楽譜の指示によると、左手では、その部分を3番→1番の指で、右手では5番→2番の指でそれぞれ弾くことになっている。したがって「ソドミ(左手)⇔ ミドソ(右手)」は「521(左手)⇔ 531(右手)」と弾く。続く「ミソド(左手)⇔ ドソミ(右手)」は「531(左手)⇔ 521(右手)」といった具合だ。最初の2小節の真ん中のたった6音、これがなかなか難しいのである。通してみると

右 531 53*1 521 531
左 531 521 53*1 531

* ... 白鍵2つ

となる。人間の指の構造上、そのマッピングが最も適しているのだろうけど、鍵盤上を平行移動しながら、指番号を意識しつつ正しい鍵盤を押そうとすると、たったこれだけで発狂しそうになる。

曲自体は、C、Am、Dm のコードをなぞるだけなので、構造を理解するのはそれほどむつかしくはないと思うが、新たな情報処理の方法を脳内に構築しないと 120 bpm で弾くのは不可能。次々に大きな壁が立ちはだかる。

さて、どうするか。

今回の曲の難所では

「えーと、つぎはCのコード転回形で、左手はソドミ、右手はミドソ、ハイッ」
「えーと、つぎはCのコード転回形で、左手はミソド、右手はドソミ、ハイッ」

という意識内の情報処理が、120 bpm に追いついていないのが問題。そして大前提として「意識に処理できる情報量は増やすことは出来ない」。なので、やるべき事は1つ。

「情報圧縮」である。

右 531 53*1 521 531
左 531 521 53*1 531
* ... 白鍵2つ

この弾き方のを思い切って

0,1,2,0

のような符号化をする。結果として、

「次0120!ハイ!」

という情報処理で弾けるようになり、それがもう少し汎用的な脳内インストラクションセットとして、体に組み込まれた気がする。