空想犬猫記

※当日記では、犬も猫も空想も扱っておりません。(旧・エト記)

Inquiétude

Burgmüller 25 Progressive Pieces, Op. 100 の 18 曲目。これは速弾きのための練習曲。逆に言うと、ゆっくり弾いてもいい音楽にならないしテクニックも身に付かないと思われるので、譜読みが簡単だからといっても、目標速度を定めないと上達につながらないのではないだろうか。テクニックとしては、左手のスタッカートと右手のスラーのみ。両手でそれぞれ異なるテクニックを使い、ひとつの音楽を奏でることに気をつける。138 BPM でクリアに弾けるように頑張る。

なぜここで頑張るのか、種明かしをしてしまうと、それはこの後に出てくる、同じ形式で、もっと美しい曲を弾くための基礎だからである。

(つづく)

The Chatterbox

Burgmüller 25 Progressive Pieces, Op. 100 の 17 曲目。序奏で2オクターブ左手が飛ぶ以外は、とても簡単に譜読みができてしまう。スタッカート付きの和音を綺麗に弾いて、108 BPM で弾けるようにする。この曲は恐らく、素人の譜読みではあきらかでない表現力を考えることが求められている。気のせいか、指示記号もスカスカである。とりあえず CD 音源の演奏を参考にしてなるべく近づけるように練習する。

Sorrow

Burgmüller 25 Progressive Pieces, Op. 100 の 16 曲目。たった1ページの小品。Farewell からの世界観を引きずっている。Ballade と同様、左手の旋律がフィーチャされていて、今回はさらに黒鍵も入る。左手の強化目的の曲なのだと思われる(このへんが Progressive だね)。前半、後半を1日ずつやって、週の残りはひたすら強化練習に励む。ここまで15曲練習してきたら、そういうやり方が出来るようになっているはず。

と、思ったが、弾いてみてこの曲の仕掛けに気づいた。

  • ペダルの指示がより細かい。四分音符1音ごとにペダルの指示。足まで集中する演奏能力を獲得することが求められる
  • 左手の旋律(というか装飾つきの伴奏)の指の動きに加えて、ペダルも入ってくる。ペダルを踏むと音が足し合わされるため、ペダルなしのときよりもさらに小さい音で弾かなければならない。つまり、左手で高速、正確、小音量の音を鳴らし続けなければならない。8曲目の Gracefulness の後半と同様、左手の強化が必要
  • 音量の指示が p と f と sf のみ、間のクレッシェンド、デクレッシェンドの表現力が問われている。八分音符の3音または4音でクレッシェンドとデクレッシェンドが完結しているところが4箇所ある。ここのこだわりは是非再現したいと思った

この曲は(未だに練習している)7曲目の The Clear Stream と同じで、弾きこめば弾きこむほど美しくなっていく奥深い曲。年末までには綺麗に弾けるようになりたい。

Ballade

Burgmüller 25 Progressive Pieces, Op. 100 の 15 曲目。タイトルの「Ballade」というのが大きすぎて、イメージが掴めなかったので、Webで検索してみた。

バラード - Wikipedia

19世紀には、フレデリック・ショパンによって、器楽曲の一種の作品名に転用された。ショパンのバラードは、古い歴史物語を詠んだ詩に基づいていることを暗示しており、この意味において、本来のバラードよりバラッドとの結びつきが強い。また、音楽史的には、幻想曲、即興曲の延長線上にある様式の曲と言うことができ、概して、音楽的に多種多様な楽想が物語風に展開され、それ故に形式は型がなく作曲者の自由な楽想が活かされており、長大で複雑な構成を呈し、夢のような美しい楽想から激情的な終焉へと向かう劇的な特徴を挙げることができる。その劇的な展開には、転調の妙技が最大限に活かされているのも大きな特徴である。また、悲劇的・破滅的に終わる傾向が強く、ハッピーエンドで終わるバラードは珍しい部類とも言える。ショパンによる全4曲の壮大なバラードでも、第3番のみハッピーエンドで、それ以外は悲劇的に終結している。

という情報を元に楽譜を読んでみると「劇的な展開」「転調の妙技が最大限に活かされている」といった特徴が見事に当てはまっている。つまり、ショパンが確立した「パラード」を、練習曲の難易度や世界観に合わせて作曲された曲が、この「Ballade」なのである(想像です)。

3ページあるが、9曲目の「Chase」と似た感じで、曲の構成は単純。A → B → B → (C) → A → (D) という感じ。 序盤の右手で和音の連打、左手で迫力のある旋律を弾くところが新しい。右手の音を抑えて弾くことを心がける。

ハ短調の曲調、この和音と旋律の響きは、じっさいにピアノで弾いてみるまで凄さが分からなかった。言い換えると、録音では分からない独特の迫力が実際のピアノの音に生じるのが分かった。自分の奏でる音楽に魔力が備わったような気がするくらい、カッコいい。

旋律の輪郭をハッキリとさせることと、それに合わせた和音の連打の音量の調整が一番の課題か。付属のCDの演奏は、p の旋律も、f に近い音量で始めている。絶対的な音量ではなく響きのバランスに合わせて音量を調節するべき、ということなのだろうか。

見たとおり楽譜は単純で、練習2日目には大体弾けるようになったものの、単調にせず、よい音楽していくためには課題が残る。付属のCDの演奏では旋律7に対して、和音の連打が3くらいの音量のバランス。ただ和音の連打を安定して弾くための最低限の音量があることを考えると、旋律は割りと大きめにして引き立てたほうが聞き応えのある音楽になるかも。

気に入ったところ1

49小節目。右手がレガートで、左手がスタッカート。クレッシェンドに躍動感が生まれる。

気に入ったところ2

中間部が終わり、おどろおどろしい最初の主題に戻るところに、最初の主題には無かった低いドの音が入る。あたかも「私はずっと居ましたよ」とでも言っているような。この一音だけで音楽が立体的になる(ような気がする)。

Austrian Dance

Burgmüller 25 Progressive Pieces, Op. 100 の 14 曲目。苦手な3拍子の曲。「別れ」「慰め」が感情表現にフォーカスしていたのと打って変わって、新しい演奏技法が投入される。ちゃんと弾けることが示せたら、それだけでスキルの証明になるので発表会向きなのかも。ゼェゼェ息を切らして何とかブルグミューラー先生の楽曲に付いて来た。毎回、乗り越えられないのではないかと不安になりながら弾き始める。弾いていると、不思議と突破口が現れて来る。その繰り返しである。これは初見の感想は「無理」の二文字であるが、今までの経験を信じて取り組んでみる。

ここでまたさらに高みへと導こうとするブルグミューラー先生。時空を超えたコミュニケーションしているような気がして少し楽しい。

まずは楽曲の構造から。

  • (A)前奏 1-3 小節
  • (B)主題1/2
  • (C)主題2/2
  • (D)中間部

とすると、A → B → B → C → C → D → B → C という構成になっている。A、B、C、D を各1日かけて覚えて、残りの数日で仕上げれば、理論上はこれまでどおり一週間のペースで通して弾けるようになるはず。(そしてあと数ヶ月かけて 176 BPM で弾けるようになるまでがんばる)

(A)前奏

いきなりレを根音とした不思議な和音で始まる。いきなり親指と人差し指と小指を変な形で使う。Progressive Pieces を最初からやって来ずに、いきなりこの曲に取り組んだら挫折すること間違いなし。

(B)主題1/2

半信半疑で楽譜のとおりに弾くと、異国の音楽が浮かび上がってくる気がする。ここで気にしたことは2つ

  • 最初に練習するときから、入り混じったスタッカートとスラーに気をつけて弾き、曲を理解する
  • D3 から C4D4 に飛ぶ伴奏は、手の大きさに頼って弾かずに、離れた鍵盤を弾く練習と思って、あまり手を開かず腕の動きで弾いてみる

右手にはスタッカートの付いた八分音符、左手はスタッカートの付いていない八分音符に八部休符。これはどうやって弾いたらよいのだろうと悩む。

(C)主題2/2

練習の仕方は(B)と同じ。ひたすらパターンを覚える練習のような感覚がつらい。リズムもメロディも体に刻み込まれていない感覚。

(D)中間部

最後から二番目の四分音符に 4-5 の指示。これは鍵盤を押さえているうちに指を4から5にすり替えて右手の高音部をレガートに弾くためのテクニック。1と2のすり替えはいらない。むしろ高音部のレガートでごまかせる程度の大きさの音で弾くことを考える。

一週間ほど練習して、一応通しで弾けるようになったものの、完成度は五割以下。毎日少しずつ継続的に弾いていけば理想の形に漸近して行きそうなめどは立った。この練習曲集は、毎日ほかの曲も弾きなおしていて、完成度で言うと、ようやく 7 曲目の The Clear Stream が 170BPM 以上で弾けるようになり、8 曲目の Gracefulness が耳障りのよい音で弾けるようになって来たところ。 同じペースだとするとあと2ヶ月かかるかも。

演奏のヒントを探そうと思って Web をうろうろしていたら、素晴らしい連載を発見。

25曲を斬る!第13回 スティリエンヌ | みんなのブルグミュラー | ピティナ・ピアノホームページ

ブルグミューラーに向き合って来たので、この記事に共感するところが多々あって面白かったし、自分の感性も間違ってなかったと思えて嬉しくもある。そう、14曲目はちょっとした「事件」とも言える跳躍があるのだ。

ここまで練習してくると、ブルグミューラー師は、ショパンの作品をオマージュしているのではないかという疑問が湧いてくる。ピアノの演奏スキルの割りに言うことが達者なことで!)12番目の「The Farewell」は革命のエチュードを子供向けに書き下ろしましたという感じだし、ずっと先に出てくる 24番の「The Swallow」はエチュード Op. 10-1 を初心者にも弾けるようにアレンジしたようにも聴こえる(言い過ぎか)。ただ、楽譜にずっと向き合っていると、遥か雲の上のように見えていた楽曲たちに手が届くような気がしてくる。

Consolation

Burgmüller 25 Progressive Pieces, Op. 100 の 13 曲目。「別れ」に続く「慰め」。大人になればなるほど、情景が伴って上手に引ける楽曲なのではないだろうか。

パッと楽譜を見た限りでは、ハ長調の簡単そうな曲。付属のCDを聴いて、片手の演奏で旋律と伴奏(ベース音)を区別して弾くテクニックが使われていることを理解した。始めの4小節は、1番でベース音を押さえながら、3、4、5の指を使って旋律を弾く。8小節目からの八分音符は、ソの音は旋律ではないので、旋律と区別して弾く。クレッシェンドや、速度の指示が多いので、音楽を感じながら意識して弾く。

楽譜を目で見ながら弾くというスキルはまだないので、曲を構造化して覚える。

  • 序奏(A)1 - 7 小節
  • 第一部(B)8 - 15(16 - 23)小節
  • 第二部(C)24 - 31(32 - 39前半)小節
  • コーダ(D)39後半 - 42 小節

と考えると A → B → B → C → C → D という構造になっている。厳密には B は B → B'、C は C → C' という似た構造になっている。「別れ」を意識してからの「慰め」では、楽節を小さく繰り返すけれども、「別れ」のときのように戻らないという違いがある。「別れ」に渦巻いていた心の葛藤や堂々巡りが、もうそこには存在せず、小さな渦になって消失し癒えていくということが、楽曲の構造からも読み取れる。

今までは、暗譜をする際には、主に音と鍵盤上の指のパターンの情報を多く取り入れて覚えていた。しかし今回の譜面のように、片手にベース音と旋律が同時に入っている場合、同じ旋律でもベース音の都合で違う指で弾く必要が出てくる。その場合、鍵盤上の指のパターンと音楽が剥離して効率的ではないので、音名による記号化を軸にして覚える方法を練習してみる。たとえば4、5小節の「ドミファミファミファミ、ラミファミレミファミ」は、指だと「13434343 145453454」であり、34 と 45 で同じ音を弾くことが、脳内で正しく整理できないが、音名であればベース音が下にずれただけであることが分かる。音名で音楽を覚えておくことのメリットとしてはさらに、暗譜を楽器に転用のしやすさと、演奏中で何らかの事故で指がもつれて指の配置が狂ったときにリカバリのしやすさが挙げられる。

この方法は YouTube 上のある有名なピアニストの方が、即興で耳コピして音楽を弾く準備をするときに、ドレミを口ずさんで確認するくだりがあったのを参考にした。さらにいうと、音名と鍵盤は1対1対応しているので、音楽を音名で記号化してかつ、ピアノの鍵盤のブラインドタッチをマスターすれば、正しい音程の音を出すという、音楽の演奏の最初のハードルが取り払われるので、その先のステップに進みやすいのではないかと考えられる。

ただ欠点が無いわけでもない、自分の場合、記号化の中枢は、ある種の思考や感覚を処理する中枢と領域が被っていて、音楽を記号処理する演奏中に、今まで出来ていた思考が少し遮断される感覚がある。音を音として感じられなくなるような、悪い影響があるような気もする。実際にそのピアニストの方は、超絶難しい演奏は出来るものの、奥行きのある音は出せていなかった。

今のところは、ドレミの名前を取り去って、音のない楽譜のオタマジャクシの流れと音楽を結びつけて、それを鍵盤上で表現できるようになることが究極の目標なのではないかと思っている。じゃあ即興演奏はどうする?転調のときはどうする?などと色々疑問が湧くのであった。

本日の疑問に1つの答を与えてくれる動画がコチラ

www.youtube.com

The Farewell

Burgmüller 25 Progressive Pieces, Op. 100 の 12 曲目。長くて速いフレーズをどのように構造化し、処理するかが課題。隣り合う音符同士は繋がっているので、上達の早いお子様にも弾けそう。

序奏(A)、主題(B)、中間部(C)、コーダ(D)と分けると、A → B → C → B → D という構造になっており、B の部分は 7 曲目「Clear Stream」の派生・発展型ともいえる。C の中間部では、この練習曲集を通して初めてペダルの指示が出てくる。

この曲はこれまでの12曲の中で、最も「感情」と音楽をリンクさせることができる。弾けば弾くほど各フレーズに込められた複数の心の動きが明らかになってくる。「The Farewell」というのは、日本語訳だと「さよなら」である。つまり、この曲のテーマは「別れ」。悲しいシチュエーションの曲なのである。そんな人生のイベントの中で、どのような心の動きがあるのだろうか。この練習曲ではそれが42小節に表現されている。繰り返し記号が無いのも、これがひとつの物語として作られたからではないだろうか。

序奏(A)1~3小節では、静かな悲しみが浮かび上がってくる。客観的な悲しみの表現から4、5小節で主観的な、「ある激しい感情の昂ぶり」が発生する。

主題(B)では、激しい感情が徐々に昂ぶっていく「あれも、これも、そういえばあれも…」見たいな感じで次々と感情の波が押し寄せてくる。この別れに、何か受け入れられないものがあるのだろう。

中間部(C)は、時を遡るか、現実逃避をした「回想シーン」。楽しかった思い出か、この別れを乗り越えた後の未来の希望を想像する。でも最後、長調のハーモニーが崩れ、雲行きが怪しくなり……。

また主題(B)。「やっぱり辛いんじゃー!」

コーダ(D)最高音のAに達して、感情が開放された後、同じ最高音のフレーズをデクレッシェンドしながら繰り返す。p からさらにデクレッシェンドして、旋律は最高音の A に達する。ここの部分は天才的だと思った。あれ?落ち着いたのか?果たして結論は如何に?と来たところで、f +スタッカートでジャ、ジャーンと終わる。この物語、主人公は最後でにきっぱりと負の感情から決別して別れを乗り越えたことが、スタッカートで読み取れる。