雨の牙
- 作者: バリー・アイスラー,池田真紀子
- 出版社/メーカー: ヴィレッジブックス
- 発売日: 2002/01
- メディア: 文庫
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最近話題の「半沢直樹」を観ていて東京が懐かしくなったので「そういえば東京を舞台にした小説があったよなー」と思い出し、本棚から引っ張ってきた「雨の牙」。買ったのは2002年の初版1刷だけど、十年来積読状態で、何となくアメリカまで持ってきていたのだった。その後2009年に映画化されているところからすると、それなりに読まれたらしい。
生まれ育った国を離れて暮らす人の心情が、とてもリアルに描かれている。私自身、特に最近は自分の帰る場所はどこなのだろうなどと考えることが多いので、10年経った今、改めてページを開いて読むことに不思議な縁を感じる本でもあった。
筋書きに関していえば、途中まで面白かったんだけど、物語の序盤に用意した材料が回収しきれず、後半はグダグダでした。商業的な理由で一冊の本に完結させなければならなかったのかもしれないけれど、本当はもう少し丁寧に書ききるかテーマを削って別の小説に仕立てたほうが良かったのではないかと思う。日本の闇社会に迫る告発小説でもあり、地獄の黙示録とジャズ音楽が背景に流れているのだ。詰め込んだはいいけど互いに交じり合ってはいない気がする。
以下ネタバレなんだけど、自分の備忘録として覚えていることを書いておく。
- 活躍してくれそうなフォーブスの記者があっけなく死んだ。友情出演?
- コピーできないCDという設定はいくらなんでも酷い。
- ヒロインが活躍しそうで、役に立たない。「格子還元」暗号を解くために電子ピアノを買いに行ったけど、すぐ諦める。話膨らまして欲しかった。
- 黒幕との面会もあっけなさすぎ。
- 易々と人殺しすぎ。