空想犬猫記

※当日記では、犬も猫も空想も扱っておりません。(旧・エト記)

金曜日

ソチ五輪開幕、NBCで開会式の再放送を見る。

全世界が注目する中での国旗掲揚と国家の演奏。ロシアにとってはさぞ誇らしい瞬間であろうと思う。なじみの薄い共産圏だからというのもあり、続く開会式の演出も面白い。テロの脅威や工事の遅れなど、問題は沢山あるが、そういうのも全部ひっくるめて、人類が成しうる最大級のイベントはつまるところこういう表現に落ち着くのか、みたいな不思議な納得感を得る。

木曜日

中田育男先生の「コンパイラ」の8章「仮想マシンと通訳系」を読みながら、EtoLispの仮想マシンを設計する。

Lispの世界そのものであるランタイムがあり、ランタイムの中にはいくつかのパッケージがあり、パッケージの中にはシンボルが入っている。これまでの理解によるとLispのシンボルは単なる数字ではなくて、それ自身が関数や値に紐付けられている。持っているといってよい。

値はトマトやキュウリで、関数は包丁や鍋のようなものである。それらがシンボルにぶら下がってパッケージの中にごちゃごちゃ入っている。Lispの世界でやりたいことは、トマトやキュウリと包丁や鍋を使ってカレーライスを作るような作業である。この世界では関数を関数に放り込むこともできる。包丁にモータを取り付けてクッキングブレンダーをつくるようなものだろう。

仮想マシンは、トマトやキュウリなどの材料からカレーを作るまでの手順を定義して、自動的に実行する工場のようなものなのだ。色々異論はあるだろうけど、それくらいの粒度の処理系が自分には扱いやすいと思うので、それを目指して作ろうと思う。

レゴブロックを崩してまた作り直す子供のような気分。

腹が減った。

水曜日

日中、奥さんが歯医者に行っている間、会社でM氏を一時的にあずかる。

昼はコストコのフードコート。夜は煮豚の丼とうどん。

子供を寝かしつけてから自分が眠くなるまでのささやかな時間を使ってetolispを書き直し始める。本日はパーサ部分を書き直す。数年前の行き当たりばったりなコードを全て捨て去り、有限オートマトンとして設計図を紙の上に書き下し、コードに落とし込む中で状態遷移を整理しなおして、高速かつシンプルな実装になった。

以前のetolispは素朴に構文木をじかに評価する仕組みで、構文木と値の区別が無かった。今回はちゃんと構文解析から変換系を通って仮想マシンバイトコードを生成するところを作ってみたいので、そのへんも合わせてずっとシンプルにした。

月曜日

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有給。高校の同級生のつてでPasadenaにあるJPLというNASAの施設を見学する。

技術そのものも面白いけど、チームが一丸となって問題に取り組み、成果を喜べる「ミッション」を設計することの大切さに気付いた。宇宙開発の場合はそのあたりが分かりやすいだけで、本質的には身近にある開発のプロジェクトも、同じ原理で動いてよいはず。

単なる思い出作り以外にも、得るものが大きかったのでN君に感謝。

その後、ツアーで一緒だった学生さんをカリフォルニア工科大学に送って、自分も歴史ある超名門校を少しだけ散策してきた。高校の時に物理を志すきっかけとなったファインマン博士が教鞭をとっていた大学である。僕にはおとぎ話のような遠い世界だったけど、子供たちには手を伸ばせば届く「地元の大学」くらいに身近に感じて欲しかったので、マスコット人形のビーバーをお土産に買った。アメリカにしては珍しいゆるキャラじゃないだろうか。

M氏は期待通りカルテック君をぶん投げて遊んでいた。その調子だ。

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日曜日

家の掃除と子供の世話。

引越し以来、ユルユルで気分が悪かったトイレットペーパーのディスペンサーを取り付けなおす。ドライウォールを補修しなおし、アンカーを打ち直して再固定。会心の出来栄え。

昼はK氏に肉うどんを作ってあげる。見事完食。一方私は目玉焼き二個。家の中とバックヤードの掃除、子供の世話と一日中家事で精一杯。夕飯は体調が回復した奥さんがから揚げと、海草のサラダに野菜たっぷりのコンソメスープを作ってくれる。二日ぶりのちゃんとした家庭料理に涙が出そうになる。

K氏は一日中留守番で少し退屈そうだが、プレスクールの先生が作ってくれたビデオ教材や家の中のものを使って上手に時間を使っていた。M氏は父親とK氏のやることなすこと何でも興味津々。可愛い盛り。