空想犬猫記

※当日記では、犬も猫も空想も扱っておりません。(旧・エト記)

キャズム

「Crossing the Chasm」を読んだ。会社の本棚にひっそりと置かれていたものだ。読み始めたら一気に引き込まれてしまった。これは・・・すごい!
後から教えてもらったことによると,ハイテク分野のマーケったーにとってはバイブル的な存在であるらしい。かの「イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき (Harvard business school press)」で用いられている「不連続なイノベーション」「連続的イノベーション」という用語もこの本が元になっているとのこと。
著者によれば,ハイテク製品のライフサイクルの成熟度によって,マーケットを構成する顧客の特性が異なるという。それは人口動態学的に見て主に4つのグループに分類され,それぞれのグループに対して固有のマーケティング手法が必要であるとのことだ。これは,ものすごい的確に本質を突いている気がした。
この本を読むと,「技術的に優れているものが必ずしも売れるわけではない」ということが理解できる。ハイテクベンチャーって技術偏重な人が多いから,このことはなかなか理解できるものではない。ある意味,技術に対するバランス感覚を身に付けるためにも,これは必読の書であると思った(副次効果として,自分が正規分布の裾野にいるってことが分かった…)。

キャズム

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どうでもいい話だが,この本は表紙にあるような「マーケティング理論」の本ではなく,敏腕コンサルタントの実践的なアドバイスが散りばめられた実用書である。いや,マーケッターはこれを理論と呼ぶのかも知れないけど・・・。
実践的なアドバイスの中でも,「まったく同じ動機から同じ製品を買っても,互いに連絡を取り合う環境にない顧客同士は,同一のマーケットの顧客ではない」とする考え方(p.42周辺)は新鮮だった。時間的,空間的(あるいは位相的)にマーケットを分割すると,もう少し自分の作っている製品が何なのか理解できるようになる気がする…。