空想犬猫記

※当日記では、犬も猫も空想も扱っておりません。(旧・エト記)

Austrian Dance

Burgmüller 25 Progressive Pieces, Op. 100 の 14 曲目。苦手な3拍子の曲。「別れ」「慰め」が感情表現にフォーカスしていたのと打って変わって、新しい演奏技法が投入される。ちゃんと弾けることが示せたら、それだけでスキルの証明になるので発表会向きなのかも。ゼェゼェ息を切らして何とかブルグミューラー先生の楽曲に付いて来た。毎回、乗り越えられないのではないかと不安になりながら弾き始める。弾いていると、不思議と突破口が現れて来る。その繰り返しである。これは初見の感想は「無理」の二文字であるが、今までの経験を信じて取り組んでみる。

ここでまたさらに高みへと導こうとするブルグミューラー先生。時空を超えたコミュニケーションしているような気がして少し楽しい。

まずは楽曲の構造から。

  • (A)前奏 1-3 小節
  • (B)主題1/2
  • (C)主題2/2
  • (D)中間部

とすると、A → B → B → C → C → D → B → C という構成になっている。A、B、C、D を各1日かけて覚えて、残りの数日で仕上げれば、理論上はこれまでどおり一週間のペースで通して弾けるようになるはず。(そしてあと数ヶ月かけて 176 BPM で弾けるようになるまでがんばる)

(A)前奏

いきなりレを根音とした不思議な和音で始まる。いきなり親指と人差し指と小指を変な形で使う。Progressive Pieces を最初からやって来ずに、いきなりこの曲に取り組んだら挫折すること間違いなし。

(B)主題1/2

半信半疑で楽譜のとおりに弾くと、異国の音楽が浮かび上がってくる気がする。ここで気にしたことは2つ

  • 最初に練習するときから、入り混じったスタッカートとスラーに気をつけて弾き、曲を理解する
  • D3 から C4D4 に飛ぶ伴奏は、手の大きさに頼って弾かずに、離れた鍵盤を弾く練習と思って、あまり手を開かず腕の動きで弾いてみる

右手にはスタッカートの付いた八分音符、左手はスタッカートの付いていない八分音符に八部休符。これはどうやって弾いたらよいのだろうと悩む。

(C)主題2/2

練習の仕方は(B)と同じ。ひたすらパターンを覚える練習のような感覚がつらい。リズムもメロディも体に刻み込まれていない感覚。

(D)中間部

最後から二番目の四分音符に 4-5 の指示。これは鍵盤を押さえているうちに指を4から5にすり替えて右手の高音部をレガートに弾くためのテクニック。1と2のすり替えはいらない。むしろ高音部のレガートでごまかせる程度の大きさの音で弾くことを考える。

一週間ほど練習して、一応通しで弾けるようになったものの、完成度は五割以下。毎日少しずつ継続的に弾いていけば理想の形に漸近して行きそうなめどは立った。この練習曲集は、毎日ほかの曲も弾きなおしていて、完成度で言うと、ようやく 7 曲目の The Clear Stream が 170BPM 以上で弾けるようになり、8 曲目の Gracefulness が耳障りのよい音で弾けるようになって来たところ。 同じペースだとするとあと2ヶ月かかるかも。

演奏のヒントを探そうと思って Web をうろうろしていたら、素晴らしい連載を発見。

25曲を斬る!第13回 スティリエンヌ | みんなのブルグミュラー | ピティナ・ピアノホームページ

ブルグミューラーに向き合って来たので、この記事に共感するところが多々あって面白かったし、自分の感性も間違ってなかったと思えて嬉しくもある。そう、14曲目はちょっとした「事件」とも言える跳躍があるのだ。

ここまで練習してくると、ブルグミューラー師は、ショパンの作品をオマージュしているのではないかという疑問が湧いてくる。ピアノの演奏スキルの割りに言うことが達者なことで!)12番目の「The Farewell」は革命のエチュードを子供向けに書き下ろしましたという感じだし、ずっと先に出てくる 24番の「The Swallow」はエチュード Op. 10-1 を初心者にも弾けるようにアレンジしたようにも聴こえる(言い過ぎか)。ただ、楽譜にずっと向き合っていると、遥か雲の上のように見えていた楽曲たちに手が届くような気がしてくる。