空想犬猫記

※当日記では、犬も猫も空想も扱っておりません。(旧・エト記)

Consolation

Burgmüller 25 Progressive Pieces, Op. 100 の 13 曲目。「別れ」に続く「慰め」。大人になればなるほど、情景が伴って上手に引ける楽曲なのではないだろうか。

パッと楽譜を見た限りでは、ハ長調の簡単そうな曲。付属のCDを聴いて、片手の演奏で旋律と伴奏(ベース音)を区別して弾くテクニックが使われていることを理解した。始めの4小節は、1番でベース音を押さえながら、3、4、5の指を使って旋律を弾く。8小節目からの八分音符は、ソの音は旋律ではないので、旋律と区別して弾く。クレッシェンドや、速度の指示が多いので、音楽を感じながら意識して弾く。

楽譜を目で見ながら弾くというスキルはまだないので、曲を構造化して覚える。

  • 序奏(A)1 - 7 小節
  • 第一部(B)8 - 15(16 - 23)小節
  • 第二部(C)24 - 31(32 - 39前半)小節
  • コーダ(D)39後半 - 42 小節

と考えると A → B → B → C → C → D という構造になっている。厳密には B は B → B'、C は C → C' という似た構造になっている。「別れ」を意識してからの「慰め」では、楽節を小さく繰り返すけれども、「別れ」のときのように戻らないという違いがある。「別れ」に渦巻いていた心の葛藤や堂々巡りが、もうそこには存在せず、小さな渦になって消失し癒えていくということが、楽曲の構造からも読み取れる。

今までは、暗譜をする際には、主に音と鍵盤上の指のパターンの情報を多く取り入れて覚えていた。しかし今回の譜面のように、片手にベース音と旋律が同時に入っている場合、同じ旋律でもベース音の都合で違う指で弾く必要が出てくる。その場合、鍵盤上の指のパターンと音楽が剥離して効率的ではないので、音名による記号化を軸にして覚える方法を練習してみる。たとえば4、5小節の「ドミファミファミファミ、ラミファミレミファミ」は、指だと「13434343 145453454」であり、34 と 45 で同じ音を弾くことが、脳内で正しく整理できないが、音名であればベース音が下にずれただけであることが分かる。音名で音楽を覚えておくことのメリットとしてはさらに、暗譜を楽器に転用のしやすさと、演奏中で何らかの事故で指がもつれて指の配置が狂ったときにリカバリのしやすさが挙げられる。

この方法は YouTube 上のある有名なピアニストの方が、即興で耳コピして音楽を弾く準備をするときに、ドレミを口ずさんで確認するくだりがあったのを参考にした。さらにいうと、音名と鍵盤は1対1対応しているので、音楽を音名で記号化してかつ、ピアノの鍵盤のブラインドタッチをマスターすれば、正しい音程の音を出すという、音楽の演奏の最初のハードルが取り払われるので、その先のステップに進みやすいのではないかと考えられる。

ただ欠点が無いわけでもない、自分の場合、記号化の中枢は、ある種の思考や感覚を処理する中枢と領域が被っていて、音楽を記号処理する演奏中に、今まで出来ていた思考が少し遮断される感覚がある。音を音として感じられなくなるような、悪い影響があるような気もする。実際にそのピアニストの方は、超絶難しい演奏は出来るものの、奥行きのある音は出せていなかった。

今のところは、ドレミの名前を取り去って、音のない楽譜のオタマジャクシの流れと音楽を結びつけて、それを鍵盤上で表現できるようになることが究極の目標なのではないかと思っている。じゃあ即興演奏はどうする?転調のときはどうする?などと色々疑問が湧くのであった。

本日の疑問に1つの答を与えてくれる動画がコチラ

www.youtube.com