空想犬猫記

※当日記では、犬も猫も空想も扱っておりません。(旧・エト記)

LAX-NRT-BKK (5) 異国の地でみたもの

首の周りにふとんを巻き付けて,無理矢理体温を上げ,ウイルスをやっつける。

気を取り直して街に繰り出す。改めて街行く人を眺めてみると,タイの女性を伴った欧米人がとても多いことに気付く。恐らく半分は,いわゆる買春旅行的な雰囲気で,これは何となく想像がついていたが,残りの半分は,子供もいてちゃんとした家族を構成していた。一体タイの奥地で何が起こっているのか?

地元の人に話を伺うと,どうやらタイの女性と結婚してこの街に住み着く外人が,さいきん多いのだそうだ。治安も良く天候も穏やかで過ごしやすく,物価も驚くほど安い。しかもタイの女性は優しくて礼儀正しい。ある意味,理想を実現できる場所なのかも知れない。ただ大変申し訳ないが,欧米人もその相手のタイ人も,何だかイケてない同士のカップルが多くて,羨ましいというよりは,少々みっともない。みっともないという気持ちは,一般のタイの人にもあるのだと思うが,それよりも多くの場合,貧困という現実があって,それから抜け出したいという人々の欲望が,そうした負の感情を相殺しているのだと思う。複雑なものを感じる。

どうしても気になるので,ひとりひとりどの面下げて生活してやがるいるのか観察してしまう。本国では明らかにイケてない人が,地域格差を利用して可愛い奥さんをゲットしてたりしたら「ムキー!」と嫉妬したかも知れないけど,あいにくそういうカップルは見当たらなかった。そういうのを眺めて確認しては,ホッと胸を撫で下ろす自分の小ささに,熱いものが込み上げてくる。

曰くこの地では,アメリカの平均的な給料でも,立派な一戸建てとメルセデス付の生活ができるとのこと(メルセデス付という発想が素朴だ)。仕事さえあれば,けっこういい所だと思う。

タイに来ると,よくも悪くも日本はアメリカ化しすぎていることと,自国万歳で閉鎖的なことに気付かされる。タイでは,当たり前ながら,恐らく嫌韓,嫌中とかいった言葉はなくて,何のコンプレックスもなく他国を受け入れることができているように思う。他の国とここまで融合しながら,独自のカラーを打ち出しているってのは,なかなか島国の民には興味深いことだと思われた。

もう少しタイについて調べてみようと思う。何も調べずに遊びに来たのは,貧乏性な人には「もったいない」「一体,何しにいったんだ」と言われそうだけど,何も知らずに遊びにいって,それから興味を持つというのは,むしろ順序としては正しいよね。