空想犬猫記

※当日記では、犬も猫も空想も扱っておりません。(旧・エト記)

優秀な人になりたい人へ

まだ私が若かりし頃は,世の中には「素晴らしいアイデア」をもつ「頭の良い」人がいて,思いもよらない突飛なことを考えては,世の中を革新していっているものだと思っていた。けれども業界で「天才」と呼ばれる何人かの人に実際に出会ったり,ブログで肉声を読んだりして,最近,そういう盲目的な考え方はしなくなってきた*1

優秀な人間がやってることは,単純だ。彼らは,彼らが見たり,聞いたり,知覚したことをなるべく的確な言語で表現し,ときに単語を追加定義している。ただその繰り返しをしているだけだった*2。そしてその際,正しいとか間違ってるとかははなくて,人々に「なるほど」と感じさせる何か(脳内物質?)をなるべく多く提供できればできるほど,よい。そしてその場にいる大多数の人が納得すれば,それでよい。

そういう言葉のネットワークをつなぎ換えたり新しい単語を追加して,森羅万象をネットワーク上に定着させることが得意な人が,優秀な人だといえる。何事も。

ときに「優秀な人」が劇的に世の中を変えることがあるため惑わされがちだけど,ここで重要なのは,新しい一つのことは,それまでに知られている古い言葉を使って表現されるということ,つまり知識は一歩一歩,インクリメンタルに進歩するってこと。それと,論理的な正しさではなく,脳内物質?が第一原理であるってことだ*3

世の中でコンスタントに成果を上げる優秀な人々は,生まれながらにして,そのように振る舞うように,そしてそれに喜びを感じるようにできている。だから,もともと優秀な人には,アドバイスなんて要らない。でも努力して「彼らのようになりたい」と思うなら,私は以下のことをやってみたらどうかと思う。

  1. 自分を知ろうとする習慣をつけること。自分は何をしたいのか,何をすると気持ちよいのか,何が嫌なのか,それは何故か,言葉で表現し,随時アップデートすること。自分はまず最初に「アホだ(った)」ということを知り,認めることから始める。
  2. 観察する習慣をつけること。自分以外の人は何を考えているのか,どう感じるのかとか,街路樹の葉っぱの付き方はどうなってるか,などを言葉で表現し,随時アップデートすること。ボケーっと漫然と時を過ごさないようにすること。
  3. 自分の言葉を誰か別の人にぶつけて,反応を伺うこと。これは誤りを発見するために必要なプロセスでもあるし,友人たちの意見は自分一人よりも「正しい」。それに,認めてくれる人がいなければ,そもそも優秀になる必要なんてないわけだし。時代が追いつけなくて不幸のうちにこの世を去った優秀な人々は多い。「優秀になりたい」からには現世利益を追求したいと思っているはず。そのためには,あなたを認めてくれる取り巻きを育てたり,あなたを取り巻く世界が進む方向や速度に,あなた自身をあわせる必要がある。

*1:余談:アホと紙一重の天才たちには,突飛な人もいるかも知れないが,彼らは運良く天才と呼ばれただけだと思っている。

*2:余談:これはものすごい「愚直」なプロセスだ。人より優秀なことを鼻にかけている人がみっともなく見えるは,彼らが自分の「愚直」さを見せびらかしているように見えるからだろう。

*3:余談:だから宗教や『オーラの泉』みたいなものが流行る。