空想犬猫記

※当日記では、犬も猫も空想も扱っておりません。(旧・エト記)

非可逆なミス

今の仕事場はフレックスタイムで,規則上は,いつ仕事をしてもいいことになっている。それでも,皆 10:00AM までにはほぼ揃うというのが,これまでの経緯で出来た「暗黙の」約束だった。

そんなわけで,午前中に用事があるときには「〜時頃に出社します。ではでは」みたいなメールを(当然英語で)うつのが通例になっている。で,今日,用事があって出社が遅れたさいに,間違って「11:30AM に出社します」を「11:30PM に出社します」と打ってしまった。

仕事が終わるのは 19 時頃である。しかし昨晩 21 時頃に全社向けのメールを流し,明け方もたまたま早起きして仕事のメールを流した。その結果,CTO としては私が「昨晩からほぼ徹夜で働いて,出社できない」うえに,そのメールをもって私が「夜型人間宣言をした」と思ったらしい。

さて,午前 11 時に出社してみると CTO からメールが。曰く「フレックスタイムと言えど,仕事にはチームワークが大事。これからは,10:00AM 出社を我がチームのルールにしようと思う。君たちが長時間のハードワークをこなしていることは知っているけど,これは大切なことなんだ」とのこと。

たぶん,私のメールに,責任感の強い CTO が相当な危機感を持ったのだろう。CTO は,スキルはかなり高いが,普段から人に「あーしろこーしろ」と言わないし,人を強く批判したり指導することの出来ないたちの人である。そのような人が,間接的な形にせよ,こうやってメールを書いたということは,相当な決心があったんだろうと勝手に推測された。私もそういう性格なのでよく分かるのだが,こういうメールを書くには相当なエネルギーが必要だし,書かざるを得ない状況に陥る過程でもの凄い心理的負担を感じるものなのだ。

早速 CTO に「あ,スンマセン,AM と PM を間違えました。今朝はどうも済みませんでした」とわびを入れたところ「イヤ,決して意図的に個人を対象にして書いたわけじゃないよ」とのこと。でも,私には,CTO の目を見て,上記の殆どをを確信することができた。

そんなわけで,技術的な会話をするときにも,今日一杯は少しぎこちなかった。けれど,そんなことは一日で解決する。

しかし,10:00AM 出社宣言は,消えない傷跡としていつまでも残り続けるのだ。時間的制約が問題なのではなく,「自由な職場」という楽園に大きな爪痕を付けてしまったことが。

ルールというものは,作られたが最後,それを帳消しにするのは難しい。それを思うと,11:30 の AM と PM を間違えた本日のミスは,色んな意味で重大なミスだったと思う。これを言うとお互い様なんだけど,私にとってはある意味,マネージャマネージメント上の大きな失敗だった。出荷日が延期になったりする中で,マネージャ以上がピリピリしている雰囲気が今回のような出来事に繋がったことも頭の片隅に入れておこうと思う。