空想犬猫記

※当日記では、犬も猫も空想も扱っておりません。(旧・エト記)

LA Phil.

チケットが余ったらしく,LA PHIL の演奏を Hollywood Bowl という野外音楽堂で聴く機会があった。今回のは Disney Fantasia といって,曲そのものだけではなく,音楽と Disney のアニメーション映像を一緒に鑑賞するという,アメリカで生まれた新しい形式の作品らしい。たかがアニメといわず,クラシックコンサートと結びつけることによって,アメリカで生まれた芸術をクラシックと同列のものに高めようとしているのだろうか。まだまだ実験的な試みであるが,それが出来てしまう環境があるだけでもよいことだと思う。アメリカはまだ歴史の浅い国だから,アメリカで生まれたものを一流品と同等に並べて,後生大事に守りたいのかな。などと思いを馳せる。
コンサートでまず驚いたのが,演目が始まる前にいきなり「星条旗」の演奏があって,観客総立ちで斉唱したこと。自国の国歌を何のためらいもなく歌えるのは,ある点ではうらやましいことだなぁと思いながら聴く。普通にいい曲だ。
さらに驚いたのが,指揮者がいきなりマイクを握って,軽いジョークを交えつつ,作品の背景を解説したこと。これがまたいかにも喋り慣れているような,気さくで親しみやすい解説だった。クラシックの音楽家とは,世間離れした上品さを持っているか,尖っているかのどちらかだと思っていたので,これも新鮮だった。
クライマックスには音楽と映像と,おまけに花火まで上がって,なんでもアリな感じ。僕の中では,世界中の色んな要素を取り入れて,マイルドに味付けするのがアメリカらしさだと思っていて,そういう意味では,よくも悪くもアメリカっぽいなぁと感じた。悪くいえば全て中途半端。日本だったら管弦楽は管弦楽,アニメはアニメ,花火は花火で,その道を極めようとするのではないだろうか。
Tシャツ短パンで飲み物食べ物持ち込み自由で,スタバのコーヒーを飲みながら演奏を聴く。形にこだわらないスタイル…。これは野外音楽堂に限らず映画館でもどこでも取り入れて欲しいものだと思った。