空想犬猫記

※当日記では、犬も猫も空想も扱っておりません。(旧・エト記)

白州次郎 占領を背負った男

白洲次郎 占領を背負った男

白洲次郎 占領を背負った男


Costa Mesaの三省堂で平積みになっているのをみてたまたま買って読んだ。敗戦から日本国憲法成立,そして戦後の復興に関して,歴史の裏舞台で大活躍した男の伝記。恥ずかしながら,この本を読むまで白州次郎が何をした人なのか,殆ど知らなかった。反省。
人間「当たり前」だと思ってるものほど,そのことを理解していないことが多い。私にとって日本国憲法がそれだった。伝記としても痛快だが,この本を読んでとても勉強させてもらった。この本を世に送り出してくれた著者に感謝である。
アメリカに来てから,「自分とは何か」ということについて考えることが多くなった。それは内側に答を見いだす哲学的な問いというよりも,何ていうか,もう少し,自分の外側を見て,客観的な位置づけをしようという試みに近い。
自分がある瞬間「○○のように思う」ことは,自分が二十数年間生きてきた以上に根が深くて,それは親から引き継いだ血だったり,これまで見聞きし体験してきた音楽や小説や絵画や建築物,車のデザインや服の色を通して,刷り込まれたメッセージによって育まれたもので,今まで「おれオリジナル」だと思ってたものは,案外,思っていた以上に少ないんじゃないかと,思うようになったのだ。
その中でも,ジーチャンバーチャン,トーチャンカーチャンの生きた戦中戦後というのは,自分の根底でもなければ,表層でもない,でも実は中間層の20%〜80%くらいの大部分を締めているような,とても重要な期間なのだと思っている。
この本は,そんな時代を冷静な視点で振り返る,いいきっかけになると思う。

#追記
そういえば五月三日は憲法記念日だった。
それでこんな本が今頃置かれていたのだ。そーかなるほど…。