空想犬猫記

※当日記では、犬も猫も空想も扱っておりません。(旧・エト記)

このブログを生暖かい目でご覧になっている方々の中には「裸一貫で渡米して新生活を開始!」という絶好のブログネタを期待していた方もいたかも知れない。しかし,僕はそのタイミングを逸してしまった。ちょっと惜しい気がする。
どうしてこうなってしまったかを振り返ってみると,僕はパソコンを使って仕事や趣味を楽しんでいる都合上,別に住む場所が違ったからといって,僕の今までの生活スタイルが根本から変わるわけではない。さりとて新しい土地に来て代わり映えのしない(漢字あってる?)日記を書くのも読者を落胆させるかも知れないし,それならしばし放置して忘れた頃に再開しよう,と,横向きな考え方で今日に至ってしまったからというのが一つ。
もう一つは経済的に苦しくて元気が出なかったというのがある。こちらではクレジットカードで買い物をするときにIDカードとして運転免許証を求められるのだが,来たばかりだとそんなもん持ってなくて,仕方なくパスポートのコピーを見せると「コピーじゃダメ」と言われてわざわざ本物のパスポートを持ち歩かなければならなかったり,クレジットカードでガソリンを給油するときに認証のためにZIPコードを聞かれるので日本のカードが使えなかったり,社会保障番号を持っていなかったので銀行口座を作るときにもうざったがられたり,おまけにATMカードを日本の住所に送られたためしばらく銀行窓口に行かないとお金が下ろせなかったり,家賃をテンポラリチェックで支払ったら「信用できない」とはねられて手数料をよけいに請求されたり,信用がなくて高額の小切手を換金できなかったり,基本的に銀行の人は早口で何言ってるか分からないし,それから,それから…。言ってたらきりがない。米国での借金の実績(クレジットヒストリ),社会保障番号,運転免許など,居住者として一人前のまっとうな人間であることを証明する書類がないうえに,少々の手続きミスがあったり,さらに言葉も通じないので,「まるで気分は野良犬」のような扱いを受けていたのである。
身よりも何にもなくて,取りあえず頼れるのは日本で稼いだお金だけだと思っていたから,来てからのこの数週間は結構しんどかった。
理想としては僕のキャリアの第一章は完結し,これから新章がスタート!なのだが,現実はそんなにポジティブティンキング一辺倒では進まないのだった。別にお金がないわけじゃなくて詰まるところ「面倒くさい」という非常に下らない理由なのだが,物語の世界ではなく現実世界における喜びとか日々の楽しみというのは,こういう些細なことにひどく左右されるものなんじゃないかと思う。んー,書いていて自分は大物になれないような気がしてきたぞ。